日本描画テスト・描画療法学会第32回大会

ご挨拶

明治大学の高瀬由嗣と申します。このたび日本描画テスト・描画療法学会第32回大会を本学で開催させていただくこととなりました。

大会テーマは「絵は語り、絵は癒す」です。何とも凡庸なフレーズですが,これに決定したのは臨床場面において絵が発揮する力を見つめ直したいという思いがあったからです。絵はその描き手を<語る>だけではありません。絵を見てそれを語るときも,人は知らず知らずに自身を<語る>ことがあります。さらに絵を描くという行為が描き手を<癒す>こともあれば,絵を語る人を<癒す>ことさえあります。今大会は,そんな絵の持つエネルギーに改めて光を当てようと考えたのです。

この観点から,シンポジウムでは「対象者の理解と援助のための2つのアプローチ」をテーマに据え,絵を見るアプローチ(ロールシャッハ法やTAT)と絵を描くアプローチ(各種描画法)との対話を通して,臨床場面で絵がもたらす「語り」と「癒し」の意味を深めていきます。また,特別講演はビザンティン美術史を専門にする気鋭の研究者をお招きして,キリスト教絵画が見る者に向かって語りかける奇跡や癒しのメッセージについてお話しいただく予定です。

会場のある御茶ノ水,神保町界隈は,複数の大学とともに,古書店や出版社が軒を並べる文化の街です。多様な人々の交流は新たな文化を創成します。秋も深まる11月初旬,この大会に多くの方々が参加され活発な交流がなされることを願っております。

日本描画テスト・描画療法学会第32回大会
大会会長 高瀬 由嗣

ページの先頭へ戻る