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日本描画テスト・描画療法学会第31回大会

開催案内

会期 2022年9月10日(土)・11日(日)
会場 西南学院大学4号館
(〒814-8511 福岡市早良区西新6丁目2-92)
大会会長 浦田英範
テーマ 描画と自己表現-描画からの表現を読み解く-
大会運営 日本描画テスト・描画療法学会第31回大会運営委員会
〒814-8511 福岡市早良区西新6丁目2-92
西南学院大学 人間科学部 心理学科 浦田研究室気付
E-mail:byogaseinan31@gmail.com ※@を半角に置き換えてください。

プログラム

9月10日(土)10:00~12:10 認定描画療法士研修会 基礎コース(NK①②)

NK①「描画による支援の基礎と職業倫理」
香川 香(関西大学)

描画による心理支援の実践には、描画テストや描画療法などに関する専門的な知識や技能の習得が必須であり、これらを最大限に活かすためには高度な倫理観を備えている必要がある。本講義の前半では、描画を用いた心理支援の基本的な考え方や全体的な枠組を示し、後半ではインフォームド・コンセントや守秘義務などの職業倫理、ならびに研究方法や成果の公表などに係わる研究倫理に関する基本的事項を解説する。

NK②「心理アセスメントの基礎」
岡田 弘司(関西大学)

ケースフォーミュレーションを確実に行ったり、心理支援を効果的に実践したりする上で、心理アセスメントのあり方が非常に重要になる。
本科目では、まず心理アセスメントの意義と目的などを確認した後、アセスメントを行う際の重要な観点やポイントについて理解を進める。
そして、面接、行動観察、生活史、医学的情報、心理テストといったアセスメントにおける情報源等の用い方についてなど検討する。

9月10日(土)10:00~12:30 ワークショップ(W1~W4)

W1「HTPPテスト」
高橋 依子(大阪樟蔭女子大学)

人のパーソナリティを理解して必要な援助を行うために、心理臨床場面でよく用いられる描画テストとして、家、木、人を4枚の用紙に描くHTPPテストがある。複数の課題を組み合わせることによって、クライエントの適応水準、精神的成熟度、情緒の安定度、自己認知、対人関係などが明らかになる。今回は、描画テストをこれから用いたいと思っている初心者や他職種の専門家向けに、基礎的な実施法と解釈法について事例を通して解説したい。

W2「描画療法入門」
山崎 一馬(夫婦円満カウンセリング つなぐ)

色々な描画法がある。一枚の描画が言語表現が苦手な人の添え木になり、面接が膨らみ課題解決へと少しずつ動いていくことがあります。今回は、演者が主に実施してきた「家族を巡る描画」を通して、描画法の基本的な考え方と実施法を一緒に考えてみたいと思います。後半は動的動物家族画、夫婦間交互色彩分割法などの描画法を体験学習する予定です。

W3「描画と保育」
三國 牧子(九州産業大学)

私はPerson-Centered Approachを大切にして臨床をしているカウンセラーです。また幼稚園教諭の経験もあります。現在は大学で公認心理師養成に関わるのがメインですが、全国私立保育園連盟の保育カウンセラー関連講座も担当し、保育には長年関わってきています。今回は保育現場での子どもと描画について、子どもたちの園での日々の生活の中から、また保育士さんの関わりの観点から考えていきたいと思っています。

W4「児童福祉領域の描画法の基礎」
生地 新(まめの木クリニック)

心理療法を行う職員がほとんどの児童福祉施設に配置され、家庭支援専門相談員や他の職員と連携する形で、親・里親の支援や子どもの心理ケアが行われている。深いところで傷ついている子どものケアにおいて、言葉では表現しにくい内面の世界を可視化するという意味で、風景構成法やスクィグルなどの描画は有力なツールである。本ワークショップでは、多くの描画を供覧しながら福祉現場での描画の活用法について学びたいと考えている。

9月10日(土)13:20~16:40 認定描画療法士研修会 基礎コース(NK③④⑤)

NK③「心理面接の基礎」
松下 博(川崎市北部児童相談所)

心理面接の目的は、相談者の抱えている心理的な課題を解決することです。それは相談者と面接者の信頼関係を形成することから始まります。面接者の態度は、面接内容を左右する重要なことですが、面接する場所についても配慮が必要です。面接を始めた方は基本的な視点を学び、面接を経験されている方には自分の面接を振り返る機会にしたいと考えます。

NK④「描画による心理アセスメントの基礎」 
寺嶋 繁典(関西大学大学院心理学研究科)

心理アセスメントを行うにあたり、描画テストは適用範囲が広く、テスト・バッテリーの一つとして用いられる機会の多い投映法です。臨床場面などで描画テストを正しく用いるためには、①投映法における描画テストの位置づけや得られる情報、②描画テストの実施方法、③描画テストの結果の整理と解釈の方法、④描画テストの臨床場面への適用と留意点などについて十分に理解している必要があります。本研修では、参加者の皆様とご一緒に描画テストによる心理アセスメントについて理解を深めたいと思います。

NK⑤「描画による心理面接の基礎」
片山 はるみ(浜松医科大学医学部看護学科)

[臨床]心理面接は、[臨床]心理士とクライエント(相談依頼者)との人間関係が構築される過程で“共感” “納得” “理解” “再生”といった心情が生まれる貴重な心的空間です。そして来談する人の特徴に応じてさまざまな臨床心理学的技法(精神分析、夢分析、遊戯療法、クライエント中心療法、集団心理療法、行動療法、箱庭療法、臨床動作法、家族療法、芸術療法、認知療法、ゲシュタルト療法、イメージ療法など)を用いて、クライエントの心の支援に資する[臨床]心理士のもっとも中心的な専門行為です(公益財団法人日本臨床心理資格認定協会HPより引用、[ ]標記は片山による)。このコースでは芸術療法に含まれる描画法について基本事項を学びます。
具体的には、以下の内容を予定しています。
1,心理面接とは、2,描画による心理面接とは、3,描画療法の特徴、4,描画療法の心理量的な利益、5,描画療法の種類、6,経験事例、7,体験

9月10日(土)14:00~16:30 ワークショップ(W5~W8)

W5「バウムテスト」
奥田 亮(大阪樟蔭女子大学)

昨年度の第30回大会ワークショップ『描画体験から考えるバウムテスト解釈』同様、描画行為に含まれる基礎的な体験(こころの動き・働き)や、バウムの各部位(幹、樹冠、根、実、等)の描画体験について考え、そこからバウムテストを解釈する視点を具体的に示す。これらは昨年度のワークショップの内容に幾つか新たな知見を加えて解説するものであるが、今回は対面での実施となるので、実際にバウム画を目の前にして体験的に解釈を検討するワークも行う予定である。

W6「描画と精神分析」
牧瀬 英幹(中部大学)

フロイトは、「対象の把持こそが神経症を精神病から距てる特徴である」と述べている。このような対象把持の観点は、主体と言語との繋がり方を理解する上で欠かせないものであるだけでなく、その繋がり方の再構成あるいは構築を促していく際の道標のような役割を果たすものでもある。本ワークショップでは、この問題を軸に据えながら、神経症、精神病の治療における描画を用いた精神分析的アプローチの方法について考えてみたい。

W7「神経発達障害児者への臨床描画の活用」-「自分らしく生きる」ことへの理解と支援を中心に
木谷 秀勝(山口大学)

神経発達障害児者に臨床描画を適用する場合、従来は「障害」の程度を中心にしたアセスメントであり、精神力動的な視点から解釈を進める傾向が強かったことは確かです。ところが、近年の当事者が語る「豊かだからこそ、傷つきやすい心の世界」への理解とともに、障害特性を抱えながらも「自分らしく生きる」姿とそこから生じる葛藤への理解が重要であることがわかってきました。そこで、今回は、多くの神経発達障害児者(特に、自閉症スペクトラム障害)の事例を紹介しながら検討を深めます。

W8「医療における描画テストの可能性」
川端 康雄(大阪医科薬科大学)

医療では近年、症状や問題行動に対して多面的で多層的なアセスメントが求められ、様々な尺度やテストが用いられています。ただ、心理支援を行う際に必要となるパーソナリティ水準や機能ついては、十分にアセスメントされているとは言い難いのが現状です。描画テストは、全体的な臨床像を把握することができる有用性の高い検査です。当日は、アセスメント結果をその後の支援に活かす方法についても考える機会にしたいと思います。

9月11日(日)13:50~14:50

特別講演「描画と自己表現―クライエントとセラピストの間の対話―」
講師:寺沢 英理子(田園調布学園大学)
司会:浦田 英範(西南学院大学)

クライエントの描画表現を見るセラピスト。その心には波が立ち、心と心のレベルでの共振が発生する。それは、次第に言語のレベルへと拡がっていき、文字通りのクライエントとセラピストの対話へと発展することも珍しくない。このような過程の中で、あるセラピストはクライエントの心を客観的に捉えようとし、別のセラピストはセラピーを進めるためのヒントを汲み取ろうとする。今回は、テストとセラピーの両面から描画表現について考えてみたい。

9月11日(日)15:00~17:00

シンポジウム
テーマ「描画と自己表現ー描画からの表現を読み解くー」

話題提供者:「アセスメントの視点から」奥田 亮(大阪樟蔭女子大学)
「主体と社会をつなぐ描画-ラカン派精神分析の観点から-」牧瀬 英幹(中部大学)
「医療における描画テストの立場から」川端 康雄(大阪医科薬科大学)

指定討論者:高橋 依子(大阪樟蔭女子大学)

「アセスメントの視点から」
奥田 亮(大阪樟蔭女子大学)

心理アセスメントで用いられる描画(課題画)になぜ、どうして、どうやって自分が表現される(と考えられる)のか、という点をよく吟味した上で、描画表現(主にバウムテスト)を読み解くこと、描画から心理的アセスメントを行うこと、それを心理的支援につなげること、についての話題(テーマ)を提供する。そのため、描画法の投映プロセスや、描画法の限界と適用を検討して、描画で何が理解できるのかについての考えを提示したい。

「主体と社会をつなぐ描画-ラカン派精神分析の観点から-」
牧瀬 英幹(中部大学)

レヴィ=ストロースが、原住民の顔面装飾に、生物学的個人と個人が体現すべき社会的人格との分割に加えて、主体が属する社会の関係が表現されていることを見て取っているように、我々は臨床描画の中に、Clと社会との繋がり方を認めることができる。また、そこでのClの自己表現の仕方に注目しつつ、両者の繋がり方の再構成を促すことで、治療的展開が生じてくるように見える。本発表では、これらの点を明らかにするとともに、その治療的意義について検討する。

「医療における描画テストの立場から」
川端 康雄(大阪医科薬科大学)

複雑化する現代社会のなかで、ひきこもり、虐待、発達障害、トラウマなどが社会的関心事として注目されています。 その影響もあり、精神科臨床では精神疾患の層構造性や併存疾患を想定することが必要となり、心理テストにも今日的で複雑なアセスメントニーズを満たすことが求められるようになりました。描画テストはそのニーズにどこまで応えることができるのでしょうか。当日はその可能性について皆様と一緒に検討する機会になればと考えております。

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